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失敗してもいいから、やってみよう Screw It, Let’s Do It

  • 投稿カテゴリー:人が変わる
  • 投稿の最終変更日:2025年1月1日
  • Reading time:11 mins read

ヴァージン・グループの創設者、リチャード・ブランソンの書籍を紹介します。「失敗してもいいから、何でもやってみよう」「楽しいことにチャレンジしよう!」「経験がなくても、物事を進めながら学ぼう!」「リスクに十分に対処し、大胆に行動しよう!」など、ポジティブなメッセージで溢れています。

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はじめに

これを書いているのは、2024年末から2025年年始にかけてです。正確に言うと、本当は年内に書き終えたかったのですが、年を越してしまいました(汗)。

私事ですが、2024年は本業の方にかなりの時間をつぎ込みました(そのため、ここで記事を書く間隔が開いてしまうこともありました)。年の瀬が近づき、仕事が少し落ち着いてきて、ふっと緊張感も緩んだ瞬間に、なんと何十年ぶりかでインフルエンザに感染。

風邪にかかって数日を棒に振るのがいやなので、普段から病気にはかからないように気を付けているのですが、油断しました。気を抜くとダメですね。ちまたでは数年ぶりの大流行と報道されていたのにもかかわらず、予防措置が甘かったのも原因でしょう。

熱が出てベッドで1日中ずっと横になっていましたが、その際、以前買ったけどまだ読んでいない本を、キンドルで寝そべりながらスクロールしているうちに、表紙の右上に「Quick Reads(すぐに読み終わる)」と書いてある本を見つけました。

軽く読めそうな内容の本だったので、実際に読み始めたところ、その本のパワーにぐいぐい引き込まれ、半日で読み終えた上に、読書後には元気までもらった気がします。大正解でした。
ただし、3年半も前に購入しておきながら、今までいっさい手を付けていなかった私は不正解です(笑)。

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失敗してもいいから、やってみよう Screw It, Let’s Do It

その本が今回紹介する「Screw It, Let’s Do It(邦題)僕たちに不可能はない」です。
本書の著者リチャード・ブランソン(Richard Branson, 1950 -)は、世界的に有名なイギリスの実業家で、コングロマリットのヴァージン・グループ(Virgin Group)の創設者です。皆さんもヴァージンの冠をかぶる企業をいくつかご存じではないでしょうか?

なお、この書籍の原題「Screw It, Let’s Do It」をより忠実に訳すと「失敗してもいいから、やってみようぜ!」です。
この言葉は、彼のビジネス哲学だけでなく、冒険好きで、とにかく行動!という感じのリチャード・ブランソンの人生哲学そのものを体現しており、実際、彼のモットーでもあります。

彼は「知らないからできない」とは決して言いません。彼は「できない」という言葉が私たちを止まらせるべきではないと言います。「知らない」のなら、知ればよいだけです。さらには、経験がなくても、最初の一歩を踏み出せば、何らかのアイデアが見つかるはずです。
多くの人たちは最初の一歩を踏み出すことができません。しかし、多くの場合、ただやってみればいいだけなのです。そしていったんやり始めたら粘り強くやり続けるのです。

ただし、向こう見ずでは成功しません。準備と計画を周到に行わなければなりません。また、大胆さは必要ですが、ギャンブルを打ってはいけません。リスクは計算しなければなりません。リスクがあまりにもランダムだったり、予測できない場合は、リスクを取るべきではありません。

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決断の大胆さ

この本を読むと、とにかく彼の発想と決断の速さ、大胆さに驚かされます。

1984年、ブランソンは若いアメリカ人弁護士からある提案を受けました。それは、ブランソンに大西洋を横断する新しい航空会社に投資して欲しいという提案です。

投資金額は膨大でした。しかし、ブランソンはそれをやりたいと思いました。

その時、すでに大西洋を横断する人気の格安航空会社がありました。彼はさっそくその会社に電話してみます。しかし、ラインが混んでいて、一日中電話してみましたが、つながりません。

彼は、週末をかけて考え、日曜日の夕方に決心しました。そして月曜日になると、ボーイング社に電話し、ジャンボジェットを1年間借りるのにいくらかかるか尋ねました。彼らはとても驚きましたが、電話が終わる頃には、良い金額を得ることができました。
これがヴァージンアトランティック(Virgin Atlantic)の始まりです。運航開始当初は、この中古のボーイング747-200型機1機のみでの運航だったのです。

ブランソンは従来の航空会社では行わなかったようなことを次々と航空業界に導入していきます。私は以前アメリカに駐在していた時に、ヴァージン・アメリカ(Virgin America)の国内線に何度か乗ったことがありますが、室内の照明が紫色で、おしゃれなバーの中にいるような感じだったのを覚えています。

1996年にヴァージントレインズ(Virgin Trains)を立ち上げた際のエピソードも面白いです。
ブランソンはこのアイデアを日本にいたときに思いつきました。新幹線に乗ったときです。まるで飛行機に乗っているような衝撃的な印象を受けます。「なぜイギリスの鉄道はこうできないのだろう?」

翌週、イギリス政府は古い鉄道システムである英国鉄道(British Rail)を解体し、民間企業が競争して鉄道を運営できるようにすると発表した。ブランソンは運命だと思いました。すぐさま飛びついて、興味があると伝えました。
メディアはヴァージンが鉄道に参入するというニュースを報じます。飛行機の時と同様に、誰もが「できるわけがない」と言いました。しかし、ブランソンはまたやり遂げたのです。

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リチャード・ブランソンからのアドバイス

彼は本書を通して、次のようなメッセージを私たちに投げかけています。

とにかくやってみる!

ゴールを描き、高く掲げ、人生を最大限に生きよう。つねに新しいことに挑戦する。決してあきらめず、絶対にやり遂げると自分を信じる。

とにかく楽しむ!

チャンスを逃さない。考えすぎて時間を無駄に過ごすよりも行動を優先しよう。もし楽しくなくなったら、次へ進む。人生を肯定的に捉える。

経験から学ぼう!

経験がなくても、物事は進みながら理解できる。実践を通して学ぼう。答えや経験を持ち合わせていなくても、新しいことに挑戦しよう。行動することで、経験と洞察が得られる。
チャンスに真っ向から取り組むことで、恐れやためらいを克服しよう。問題は先送りせず、真っ向から取り組む。失敗しても決して後悔せず、教訓を次に生かす。間違いや失敗は成長の一部。過去にくよくよせず、今を全力で生きよう。

大胆に生きる

恐れよりも勇気。大事なのはリスクを取ることではなく大胆に行動すること。リスキーに行動するのではなく、リスクには十分に対処する。十分に準備し、大胆に行動し、全力を注ぐ。古いしきたりやルールに邪魔されないようにする。

チームワーク

正しい仲間を選ぶこと。そして、彼らの成果に十分に報いること。仲間たちに忠実であり、お互いに助け合って、共に働く。自分よりも家族や仲間たちを優先する。

お金のために働かない

お金のことは考えない。お金は後から付いてくる。決してお金儲けを目的にしない。お金が目的であれば、長期的な成功は決して得られない。生きていくためにお金が必要な時代だが、それ以上のお金は必要ない。1日に朝食、昼食、夕食を1回ずつだけあれば十分。重要なのはお金は目的ではなく、お金は手段だということ。

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幼少期の教育

リチャードの母親はリチャードが自立し挑戦できる人間になるよう、小さい頃から厳しく接しました。
ブランソンが4歳のとき、母は家から数マイル離れたところで車を突然止め、そこから自分で家まで帰ってきなさいと言いました。

成長するにつれて、母親の教育はさらにレベルアップしていきます。
ある冬の朝早く、母はリチャードを揺り起こし、服を着るように言いつけます。暗くて寒かったのですが、ブランソンはベッドから這い出ました。母親は、弁当とリンゴを持たせて、南海岸までの50マイル(80キロ)の自転車の旅に、暗闇の中送り出します。

ブランソンは親戚の家に一晩泊まり、翌日家に帰ってきました。家の台所に入ったとき、ブランソンはとても誇らしく思いました。きっと歓声で迎えられるだろうと思い、台所の母に駆け寄ったところ、こう言われました。
「よくやったわね、リッキー。楽しかった?さあ、行きなさい。牧師があなたに薪を割ってほしいみたいよ。」

リチャードの母親の母親、つまりおばあちゃんも人生を絶えず挑戦して人生を過ごしました。

ブランソンはそういう意味ではとても恵まれた家庭に生まれたのです。残念ながら、すべての人がそのような家庭環境に恵まれるわけではありません。また、今ではこのような教育方法は幼児虐待と捉えられてしまう場合もあります。この生き方を全員ができるわけではありません。しかし、生まれ出た環境は、私たちが後の人生で決して自分では変えることができない重大な影響を私たちに埋め込むのです。

彼は時々、日本で過ごしたクリスマスで見かけた漁師を思い出すと言います。
彼は努力するのは人間の本性だと信じています。だから、毎日毎日同じルーチンを繰り返す漁師たちが人生に何を求めているのか不思議に思いました。彼らは釣りをして家族を養うことに満足しているようでした。

魚の缶詰帝国を築こうという意欲はないようでした。彼らはブランソンのように気球で太平洋を横断したり、エベレストに登りたいと思っているようには見えませんでした。彼らはその日その日をあるがままに受け入れていました。彼らは今この瞬間を生きていました。それが彼らに心の平安を与えていたのかもしれません。

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さいごに

私たちは、ブランソンのすべてを見習う必要はありません。むしろすべてを真似するのは不可能でしょう。私たちは彼と同じような環境に育っていないからです。しかし、自分の人生に生かすことができる数多くの教訓を得ることはできるはずです。

自分自身の人生をそれぞれが過ごせばいいのです。だいいち、もし私たち地球上の全員が彼のような生き方をしたら、瞬く間に地球環境は崩壊してしまうでしょう(笑)。しかし、彼のような多くの人たちを勇気づけることができる人物は世の中に絶対に必要です。

彼自身、誰もが大きな航空会社や鉄道会社を経営できるわけではないと言います。大切なのは、もっと控えめな目標であっても、それを追い求めることです。

誰でも一度は経験することですが、もしあなたが好きではない上司の下で働かなければならないとしても、そのことについて不平を言う必要はありません。人生を前向きに捉えて、ただやり過ごしてください。上司のことは置いておいて、仕事そのものを楽しんだり、仕事を通じて出会う人たちと楽しく過ごしたり、仕事と私生活を分けて、自分の時間を有意義に過ごしてください。そうすれば、もっと幸せになって、人生と仕事の両方を楽しめるようになるでしょう。

本書の中で、彼は多くの人生の成功要因を挙げています。しかし、私がその中で最も重要だと思っているもの、彼を成功に導いたと思っているのは、彼が本の最初の方で強く語っていることではなく、本の最後の方に書いていることです。

それは、自分の言葉に責任を持つこと、約束を守ること、他人を騙してはいけない、他人に迷惑をかけてはいけない、正しいことをおこなう、敬意をもって人に接する、といった彼の倫理感や道徳観の高さ、社会的使命感の高さ、つまり、人としての正しさだと思っています。

なぜなら、この「人としての正しさ」がなければ、「とにかくやってみる」「つねにチャレンジする」「とにかく楽しむ」「チャンスを逃さない」という彼のモットーは非常に危険なものにもなりかねないからです。人を導くリーダーではなく、独裁者になりかねないからです。

その「人としての正しさ」を裏付けるエピソードがあります。

ヴァージン・グループの事業が成功し、従業員数も増えていきました。1986年には英国で最も大きい民間企業の1社となり、4,000名もの従業員を抱えるまでに成長します。

多くの人たちがブランソンに会社を株式公開するようにアドバイスします。反対意見もありましたが、最終的にブランソンは上場する決断をします。70,000人もの人が応募し、買えなかった人は株式市場で株を購入しました。ブランソンは多くの人から感謝され、期待されました。しかし、ブランソンは即決即断の今までの権限は奪われ、重要事項は取締役会を通して決断まで1か月かかるようになりました。ビジネスチャンスを逃し、次第に業績は下がっていきます。

そこでブランソンは資金を集め、株式を買い戻す決断をします。しかも、下がった株価ではなく、その人たちが購入した価格で買い戻したのです。そのための資金を個人で集めました。彼を信じ株を購入した人たちを裏切りたくなかったからです。

ブランソンがいつも心がけていることの1つは、約束を守ることです。目標を設定したら、それを守ります。成功は運だけではありません。自分を信じて、それを実現しなければなりません。また、自分を信じて、約束を守るから、他の人たちもあなたを信じるようになるのです。

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