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変革の書籍紹介:マインドセット(Mindset) 成長型と硬直型の2種類の人たち

  • 投稿カテゴリー:人が変わる
  • 投稿の最終変更日:2022年9月13日
  • Reading time:7 mins read

書籍「マインドセット」は2つのタイプの人たちを紹介します。努力、学び、成長を続けられる「成長マインドセット(Growth Mindset)」を持つ人たちと、自分の欠点を認められず、改善できず、チャレンジを避け、自己防衛に躍起となる「硬直マインドセット(Fixed Mindset)」を持つ人たちです。

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「マインドセット(mindset ~ Chaning the way you think to fulfil your potential)」は、アメリカの著名な心理学者でスタンフォード大学の教授(2004年~)であるキャロル・ドウェック(Dr Carol S. Dweck)による2006年の著書です。

書籍では、「Growth mindset(成長マインドセット)」を持つ人たちと「Fixed mindset(硬直マインドセット)」を持つ人たちを、繰り返し紹介し比較していきます。
「Growth mindset(成長マインドセット)」を持つ人は、努力、学び、他人からの助けによって自分を伸ばしていけると考えるタイプの人です。
一方で「Fixed mindset(硬直マインドセット)」を持つ人は、才能は最初から決まっていると思うタイプの人で、自分の欠点を認めたり修正することができず、チャレンジを避け、自分が優れていると証明すること、自己防衛に躍起となるタイプの人です。

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私は本書籍を英語版(2017年改訂版)で読みました。日本語版は読んでいませんが、日本語版のタイトルは「マインドセット「やればできる! 」の研究」です。
日本語版では「Growth mindset」を「しなやかマインドセット」、「Fixed mindset」を「硬直マインドセット」と紹介しています。「Fixed mindset」が「硬直マインドセット」は良いと思いますが、「Growth mindset」が「しなやかマインドセット」と訳されているのは著者の意図とは少し違うだろうと違和感を覚えます。また、書籍名副題の「やればできる! の研究」にも違和感が。。。
私は出版事情に明るくなく的外れかもしれませんが、日本では、目に留まりやすい、印象を与えやすいフレーズに訳す事情があるのかもしれません。本サイトでは、以降、「Growth mindset」「Fixed mindset」をそれぞれ「成長マインドセット」、「硬直マインドセット」と訳していきます。

「Growth mindset」➡「成長マインドセット」
「Fixed mindset」 ➡「硬直マインドセット」

なお、下のTEDの日本語訳では「成長型マインドセット」と訳していますね。

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先に紹介したように、本書は2つのタイプの人のそれぞれの特徴や考え方を、繰り返し繰り返し比較していきます。この本は人をとてもシンプルで分かりやすく2つのタイプに分類していて、そのモデルはその後多くの書籍で引用され、とても高く評価されていますが、アマゾンのレビューにもあるように、とにかく同じような事例や比較の繰り返しが多い点が難点ではあります。
ただし、書籍の最後に紹介されている「硬直マインドセット」を「成長マインドセット」に変える方法、これが面白く、本書の私の最高にお気に入りの部分なのですが、それは最後に紹介します。。。

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まず、本書で紹介されている「Growth mindset(成長マインドセット)」と「Fixed mindset(硬直マインドセット)」の人の考え方や態度の対比を紹介します。

[成長マインドセット] Nothing venture, nothing gain(危険を冒さなければ、何も得られない)
[硬直マインドセット] Nothing venture, nothing lost(危険を冒さなければ、何も失う事もない)

[成長マインドセット] 最初の試みで成功しなければ、何度も何度もやってみる
[硬直マインドセット] 最初の試みで成功しなければ、能力がないということ

[成長マインドセット] 失敗した時は、何が原因か考え、次の機会に備える
[硬直マインドセット] 失敗した時は、他の誰かのせいにしたり、体調が悪かったと言い訳をする

[成長マインドセット] 悪い点数を取ったら、もっと一生懸命頑張る
[硬直マインドセット]
悪い点数を取ったら、寝る、食べる、飲む、ふてくされる、何もしない、叫ぶ、物を壊す、泣く、等々

[成長マインドセット] 学習者。自分を成長させる、学ぶことに主眼を置く。才能は伸ばすもの
[硬直マインドセット] 非学習者。努力は才能のない人間がすること。才能のある人が成功する。努力しなくても成し遂げられる人が優れている

[成長マインドセット] 批判から学ぶ
[硬直マインドセット] 他人からの批判は自分への攻撃と考え、否定的なフィードバックは無視したり攻撃し返す

[成長マインドセット] 他人の成功から学ぶ
[硬直マインドセット] 他人の成功は脅威

[成長マインドセット] 他人と比較しない
[硬直マインドセット] 自分が他人より優れていること、自分の能力を証明することや見せびらかすことに躍起となる

[成長マインドセット] 自分の能力を的確に評価できる
[硬直マインドセット] 自分の能力を過大評価する

[成長マインドセット] 過去にやったことがないチャレンジングなことに興味を示す
[硬直マインドセット] チャレンジを避け、過去に上手くできたことを繰り返すことに興味を示す

[成長マインドセット] あるパズルを成功すると、もっと難しいパズルにチャレンジしたくなる
[硬直マインドセット] 難しいパズルには挑戦せず、できたパズルを何回も繰り返す

[成長マインドセット] 過去に経験したことがない難しいこと、長年取り組んできたことを達成した時にやったと思う
[硬直マインドセット] ミスなくこなせた時、他人には出来ないことができた時にやったと思う

[成長マインドセット] 情報を評価するのではなく、その情報をどう利用してより良い方向に自分を持っていくかを考える
[硬直マインドセット] 自分にとって良い情報か悪い情報かで評価する

[成長マインドセット] 環境や社会の変化に合わせて、自分も変わっていかなければならない
[硬直マインドセット] 自分のために、周りの環境や社会が変わるべきであり、自分は変わる必要がない

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実は、大企業のトップに君臨するような経営者の方々にも「硬直マインドセット」は数多くいます。
本書では、Scott Paper社のAlbert Dunlop、Chrysler Motors社のLee Iacocca、AOL Time Warner社のSteve Case、Enron社のKenneth Lay、Jeffrey Skilling等々、会社を崩壊に招いた「硬直マインドセット」のリーダー達を紹介しています。

「硬直マインドセット」のリーダーは、名声や名誉、地位への欲望、エゴを満たすため、また自分が優れていることを証明するため、トップまで昇りつめた人であり、会社を長期的には成長できません。

「硬直マインドセット」のリーダーは、部下を成長させるのではなく、部下、特に能力が高い部下ほど封じ込めようとします。「硬直マインドセット」のリーダーにとって、「成長マインドセット」の人は障害になります。自分を脅かす存在だからであり、「硬直マインドセット」のリーダーは、自分が会社の中で一番の存在である必要があるからです。

「硬直マインドセット」の人は、現状維持志向、変化を望まない「硬直マインドセット」思考の人との付き合いを好みます。「硬直マインドセット」のリーダーは部下を「硬直マインドセット」に変えていったり、チームをそのようなメンバーで固めていきます。

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私は本書を読むにつれて、この本を「硬直マインドセット」の人が読むといったいどう思うんだろうとふと気になりましたが、書籍はこの点にも言及しています。この本を読む「硬直マインドセット」の人は「成功に努力は必要だよ。失敗は成功のもと」と口先では言うものの、行動は伴わず、実際の行動は「硬直マインドセット」のままだそうです。

人間は基本的に「成長マインドセット」で生まれてきます。生まれてから、歩き方や話し方、ありとあらゆることを学んでいかないとならないからです。しかし成長が進み、自尊心(プライド)などが芽生え始めると、ある子供たちは「硬直マインドセット」に変わっていきます。
例えば、子供たちの結果をほめることは「硬直マインドセット」を助長させます。子供に「賢いね~」「すごいね~」「頭いいんだね~」と能力を強調することも、自分は賢いんだという意識を助長する要因になり、IQを低下させる事にさえ繋がるそうです。
また、これを否定的な意味でステレオタイプに当てはめてしまうと、例えば「あなたは頭が良くないから~」「あなたは女性だから~」等は「硬直マインドセット」を助長させてしまいます。「成長マインドセット」を育むためには、「頑張ったね」「努力したよね」「成長したよね」等、挑戦や努力のプロセスや行動を褒めるのが良いそうです。

世の中には、完全に「成長マインドセット」な人、完全に「硬直マインドセット」な人はおらず、みんなその間のどこかに位置します。また、例えばあなたがどちらかというと全体的には「成長マインドセット」でも、全てに「成長マインドセット」を持って取り組めるわけではなく、不得意なことに対しては「硬直マインドセット」であったりします。
先ほど紹介したTEDの冒頭で、ドウェックは「”まだ”の力(the power of “yet”)」を紹介しています。「もう達成した」ではそれで終わってしまいます。「まだ達成していない」、つまり、何事においても、成長の途中にあること、まだ先があるという意識が大切です。

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最後に、ではどうやって「硬直マインドセット」を「成長マインドセット」に変えられるのか、その4つのステップを紹介します。

【ステップ1】:「硬直マインドセット」を受け入れる
どんな人でも「硬直マインドセット」と「成長マインドセット」が混在しています。まずは、自分の「硬直マインドセット」を素直に受け止めることです。

【ステップ2】:何が「硬直マインドセット」を引き起こしているか意識する
どういう時に「硬直マインドセット」になるのか、新しく大きな挑戦に面している時か、得意な分野で他人に先を越された時か、良い・悪いを判断するのではなく、ただただその時のあなたを観察します。

【ステップ3】:「硬直マインドセット」の人格に名前を付ける
えっ?と思うかもしれませんが、そうです、あなたの「硬直マインドセット」の人格に名前を付けます。

【ステップ4】:「硬直マインドセット」を旅に連れていく
「硬直マインドセット」がどういう時に現れるか分かりました、名前も付きました。「硬直マインドセット」を教育し、旅に連れて行ってください。「成長マインドセット」への旅です。

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このステップ3の「硬直マインドセット」に名前を付けるという点が最高です。
私は、私の「硬直マインドセット」に「モーさん」と名付けました(笑)。牛には失礼ですが、なんとなく活動的でないイメージがあるので。書籍では「成長マインドセット」に名前を付けなさいとは書いていませんが、折角なので「成長マインドセット」にも「ポチ」と名付けました。ポチは犬です、深い理由はありません(笑)。ちなみに私は犬も含めペットは飼っていません。

私はどちらかというと自分を「成長マインドセット」型の人間と思っていますが、書籍を読んでから意識してみると、時々モーさんが顔を出すのが分かります。どうしても嫌な時、苦手なことってありますよね、と無理矢理共感を求めますが(笑)。
そんな時は、あ、これ苦手なんだな、モーさんが顔を出してきた。よし、ポチにモーさんを連れて行ってもらうか!と考えることができるようになります。名前を付け人格を与えることで「硬直マインドセット」の部分を押し殺すのでなく、成長させることができるのです。

なお、書籍で紹介している実例では、「硬直マインドセット」を、「Z(ズィー)」、「Duane(デュアン)」、「Dale Denton(デール・デントン)」、「SugerDaddy(シュガーダディー)」(笑)などと名付けています。

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